現在、日本の産業分野では人手不足が叫ばれています。

その分野の中には、造船・舶用工業分野も含まれているのです。

そこで政府は、労働人口が足りていない分野の中でも特に人材の確保が困難な分野を特定産業分野とし、外国人を受け入れていく仕組みを作りました。

 その受入れ対象分野(特定産業分野)は全部で14分野ありますが、ここではその中の1つ造船・舶用工業について解説させていたただきます。

造船・舶用工業は、少子高齢化・生産年齢人口減少が急激に進んでいることに加えて、若い方の地方から都市部への流出等により、日本人の若手就労者は、年々、確保しづらくなっています。

深刻化する人手不足に対応するため、「海事生産性革命(i-Shipping)」の活動による生産性向上や、国内人材確保のために現場環境の改善等を行っている状況です。

人材確保の具体的な取組みとして、関連業界が造船工学の教材の作成や造船に関する、若手教員の専門指導力向上のための研修プログラムの開発や、女性が働きやすい現場環境の改善等を実施しています。

しかし、今後も造船・舶用工業分野で必要となる労働力は増加するものと見込まれており、このままでは人手不足を解消することが困難になるでしょう。

そこで即戦力となる外国人の受入れを行うことにより、造船・舶用工業分野の存続・発展へと政府が動き出したのです。

それでは、造船・舶用工業分野では特定技能外国人について、どのような要件を求められているのでしょうか。

具体的に求められている技能水準や日本語能力水準は以下の通りです。

□1号特定技能外国人の場合

1.技能水準(試験区分)

「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」に合格すること。
携わる業務によって分かれており、全部で6種類あります。(溶接、塗装または技能検定3級(塗装)、鉄工または技能検定3級(鉄工)、仕上げまたは技能検定3級(仕上げ)、機械加工または技能検定3級(機械加工)、電気機器組立てまたは技能検定3級(電気機器組立て))

2.日本語能力水準

「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」に合格すること。

□2号特定技能外国人の場合(試験に加えて実務経験が必要になります)

1.技能水準(試験区分)

「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(溶接)」に合格すること。

2.技能水準(実務経験)

複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験が要件になっています。

以上が特定技能外国人に求められている基準になります。

特定技能試験に関する詳しい情報につきましては以下のサイトをご確認ください。※

※特定技能試験に関しましては、未定の部分が多い項目となっております。

試験の概要が確定してからの公表となっている場合もありますので注意してください。

国土交通省 海事局船舶産業課
http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr5_000006.html

ClassNK 一般財団法人日本海事協会
http://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/evaluation/index.html

なお、特定技能1号の在留資格については、造船・舶用工業分野に関する第2号技能実習を修了している場合、技能水準、日本語能力水準ともに基準を満たしているとみなされますので、試験を受ける必要はありません。

次に特定技能外国人が従事する業務についてです。

□1号特定技能外国人の場合
溶接(手溶接、半自動溶接)、塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業)、鉄工(構造物鉄工作業)、仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業)、機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業)、 電気機器組立て(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業)など合格した試験区分によって分かれています。

□2号特定技能外国人の場合
溶接(手溶接、半自動溶接)業務に従事することになります。

以上が特定技能外国人 造船・舶用工業分野についての解説になります。